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あま〜いカブと土づくりのこだわり


木下さんはずっと土づくりにこだわっている。

 

今回、取材前にそんな情報をいただいていました。

そのこだわりがとても気になる!だって野菜は畑で育つ、土とは切っても切れない関係。

その土へのこだわりっていったい!?

 

どんなお話が聞けるのかワクワクしながら木下農園さんに伺いました。



“収穫したてのまんまるなカブ”



カブ栽培を始めたきっかけ教えてください


農業をはじめて今年で30年かな、31歳の時に脱サラして農業を始めたんだ。

資金を稼ぐのに最初は会社勤めをしたよ、農業を始めるにも資金が必要だからね。 

はじめはスイカとかいろいろやっていたけれど、収穫が梅雨時期に被ったりしてあまりうまくいかなくてね。

 

昔、園芸試験場がこの辺にあって、そこに相談に行ったらカブを始めたら?って。

カブ栽培は難しいけども回転が速いから良いかもしれないと、そこの先生にアドバイスもらったんだよね。

でも園芸試験場だけでは栽培のことについてわからないことも多くて、柏や東京などいろいろなとこに学びに行ったよ。



“ハウスの中は一面、緑!”




“実習に来ていた中学生も丁寧に収穫していました、上手ですね!”



カブ栽培のこと

 

栽培面積は、この辺で4町歩くらいやっているよ。

ハウス以外はカブとトウモロコシと、交互に作ってるかな。

トウモロコシは余計な肥料を吸い上げてくれるからカブ栽培のために一度土壌をリセットできるんだ。

 

作付けのスケジュールは8−9月に土づくり、その後作付け、10月からはマルチトンネル栽培が始まるよ。 

 

種を蒔いてから、暖かい時期は早くて90日。冬はだいたい130日でカブは収穫できる。



“トウモロコシもスクスクと元気そうに育っていました。”



土づくりのこだわり


EM菌を入れて、5年は土づくりにかかるね、5年くらい経つと結果が出てくる。

カブに適した土を作るということだね、はじめは種苗会社や研究所の指導もあった、土づくりに最低5年って話がそこでも言われたね。

 

まず堆肥やEM菌をどんどん入れて1年目は土壌を寝かせる、2年目も堆肥やヌカを入れる。

もちろん毎年ボカシとしてEM菌も入れる。

そうすると土がだんだんサラサラになってくるんだ。そのサラサラした粒子が細かい土がカブ栽培に適している。

 

3年目は土がカブにより馴染んでくる、もっとサラサラになる。

 

カブは肌が大事だからね、サラサラな柔らかい土の畑では、真っ白で傷などがない綺麗な肌のカブが栽培できるようになってくる

4年、5年目はどんどん良くなるよ。



“ハウス内のサラサラとしたこだわりの土。”



“魚粕、菜種粕、米糠を混ぜ、完全に発酵したEMボカシ”


魚粕、菜種粕、米糠をミキサーにかけ、1年半寝かせて完全に発酵したEMボカシで作ったEMボカシ抽出液をトンネルなどには散布をする。

 

土づくりを始めて10年経つと違いがだいぶわかるかなあ。土づくりには実際10年以上かかるかもね。

栽培した野菜を見ていると葉っぱの厚みなどに違いが出てくるのがわかる。

 

その後の土づくりは自分の考えと勘でね。

いろんなものを選択してね、それは企業秘密!

 

 

すごい!さまざまな工夫と時間をかけていらっしゃるのですね!

聞くと木下さんが土づくりに取り組み出したのは周りに比べてかなり早い時期からだそう。

パイオニアですね。




“カブがこんなふうに大きくなるって知ってました?”




“さすが実習生、収穫が手早いです。”



カブ栽培の難しい点は?


土づくりが難しい、EM菌などを使った土づくり、なるだけ農薬を使わないようにしてね。

土には虫がいるから少しだけ農薬を使わなければならないけど極力抑えているよ。

 

次は手作業の大変さ。

冬の種まきは手作業で撒くからね。

冬はマルチしないと育たないから、マルチに13センチ間隔で穴が空いていて、そこにひとつずつ種を蒔くから大変、蒔いたら土をかけて箒で優しくならすんだ。

 

そして丁寧な手作業が必要。

カブは身が柔らかいから当たるとすぐに傷ついたりへこんだりする。

5月あたりの美味しいカブはかなり柔らかいから、重ねただけでも変色してしまったりする。基本は丁寧に扱うということだね。



“手作業で丁寧に洗い選別していきます。”



“箱詰めも手作業で丁寧に。”



最後に水のこと。

カブは水に弱いから、水害への早い対処が必須だね。

水没して作物が全滅したこともある、水に浸かるとね、すぐ腐ってしまう。

大雨降ると本当に大変、うちは暗渠入れてるからすぐに対処するよ。

 

大雨降ったあと排水いいところを見極めて新たにカブを栽培する場を増やしたりもする。

 

水のことでもうひとつ、カブは水をあげないほうが甘くなる。

収穫前に水を含むと甘みが落ちたり、劣化して割れてしまったりするんだ。

 

 

すべての行程を見せていただくと手作業の部分が想像以上に多く、皆さんとても丁寧に作業されていたのが印象的でした。

カブの重ね方とかなんだか芸術的!って感じました。




“取材の日もどんどん収穫されるカブたち。”



実習生たちのエピソードも聞かせてください!

 

それぞれの国の料理を作ってくれたりするよ!

中国からの実習生は餃子だったりね。

皮から作ってくれる、水餃子ね、モチモチして本当にウマいよ。

 

海外の子は誕生日を大切にする。俺の誕生日なんか自分でも忘れてたら、実習生たちがおめでとう!と手料理で祝ってくれたりね。嬉しいよね~。

 

スリランカからの実習生はカレーなんかも作ってくれる、つい先日はコロッケ?みたいなのを作ってくれてね、本場の味はなかなか刺激的だったよ。笑

 

僕、個人的にエスニック料理大好きなのでそのコロッケ!とても気になります。

そんな異文化コミュニケーションも楽しいですね。




“今日は中学生に実習生自慢の料理を見てもらいます!美味しそう!”



“皆さん、にこやか!”



 カブの美味しい見分け方


まずは中学生に生でかじってもらおうかな。それが一番美味しいからね。

(取材当日、茨城県内の中学生が実習に訪れていました。)

 

このね、葉っぱの裏を見てもらうとわかるけど、ここに葉脈がある、この葉脈が揃うように栽培する。

EM菌を使い土が良くなり栽培するカブも品質が良くなってくるとこの葉脈が揃ってくる、土が良くないとこの葉脈の出方が乱れる。ここまで揃うようになるまで土づくり3年はかかるかな。

 

スーパーで葉脈見て判断するのは、葉っぱの部分切ってしまうから難しいね。紫の帯に木下農園の名前が入っているからそこを見てうちのを買ってもらうのが良いと思うよ!笑 



“EM菌を使うと葉脈が揃ってくるそうです。”



“カブの葉っぱもとても元気そう!”



“茎がしっかりと太いんです!”


スーパーで売っているカブってここまで茎が太くないと思うんだよ。

この茎にたくさんの栄養素が詰まっているからね~茎もしっかり食べてほしい。

冬は茎がもっともっと太くなるよ!

 

とりあえずこれ生で食べてみてよ、どれだけ甘いかわかるからね!

 

葉脈や茎の太さ、あまり知らない部分でしたが、確かにどれを見ても美しいんです!


とりあえずこれ生で食べてみてよ、どれだけ甘いかわかるからね!

 

葉脈や茎の太さ、あまり知らない部分でしたが、確かにどれを見ても美しいんです!


木下さんのカブはどこで購入できますか?


スーパーのカスミや東京三越で買えるかな。

カスミは茨城を中心に1都4県で買ってもらえるよ!

ここでの直売は、しっかり対応できず失礼に当たってしまうからやっていないんだ。



“紫の木下農園テープが目印です!”



家庭菜園で美味しいカブは作れますか?

 

家庭菜園で白く綺麗に、柔らかく栽培するのは結構難しいかもしれないな。

 

おすすめとしては早いうちに収穫して食べると、身が柔らかくて美味いよ。

皆さん大きく育てたいと、時間をかけ大きくすると繊維が残って固くなってしまう。成長する途中で虫に食われたりもするしね。



おすすめレシピ教えてください!

 

カブはなんでも美味いよ!

うちのはどちらかというとサラダむきかもね、薄く皮を剥いて切ってツナとマヨネーズとあえたりすると美味しい。

秋には柿と合わせてあえてマヨネーズもおすすめ!

時期にもよるけど煮物や味噌汁でもいける。

煮ると美味しいよ~!鶏肉、カブ、醤油でね。

でもうちのカブはあまり煮るとトロけちゃうから気をつけてね。



“まんまるで柔らかそう。”



“メロンみたいに!?あま〜いカブ。” 

 

 

取材に伺った日は木下農園さんに茨城県内の中学生が農業実習に来ていました。

 

海外からの実習生と中学生がグループになって収穫、選別、箱詰めなどを体験していました、土のことなど普段の授業では触れることのできないことにたくさん触れていました。

とても貴重な時間ですよね。

 

みんな作業後にカブを生でかじると、甘~い!メロンみたい!って美味しそうに嬉しそうにしていました。

 

僕も本当かな~?ってかじらせてもらうと本当に甘~い!メロンみたい!でした。笑

 

カブを嬉しそうに食べる皆さんの姿を見て木下さんも楽しそう。

今日はとても素敵な畑時間を過ごさせていただきました。

 

土へのこだわりと共に育てる甘〜いカブにはたくさんの手間暇と愛情が詰まっていました!



木下さん、本日はありがとうございました。” 




文章・写真・編集/ Masa Hamanoi









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